ポケット版『「のび太」という生きかた』

横山 泰行 著  アスコム 刊

「第44回福井県小学生読書感想文コンクール」
(福井新聞社主催)
福井県教育委員会賞 最優秀賞
受賞作品 全文紹介

 

題名:「のび太」という生き方
鯖江市惜陰小学校
山本 昴 さん(当時:小学5年生)

 
 勉強も運動も出来なくて、ぐうたらするのが大好き。毎日先生や親にしかられ、友達にはからかわれてばかり…これが、ぼくののび太に対するイメージだ。
正直ダメ人間の代表のようなのび太の生き方から、学ぶこととは何なのか。ぼくは、とても興味を持った。
 
 読み始めてすぐに、ぼくの予想はくつがえされた。
ぼくの予想は、のび太のダメっぷりを反面教しにして、人生の成功のひけつを見つけ出すというものだった。
しかし、ちょ者は、のび太こそが人生の成功者であると言っている。
のび太の人生は、一見して失敗の連続だが、のび太は人生の重要な節目においては、着実に夢をかなえ、負け犬・のび太から勝ち組・のび太に変身していると言っているのだ。
ぼくは、少しとまどった。ぼくのイメージしていたのび太とは、かけはなれていたからだ。
しかし、言われてみれば、確かにのび太は、愛されキャラではある。
ジャイアンやスネ夫は、しょっ中のび太をいじめたり、からかったりしているが、のび太を仲間だとみとめているし、しずちゃんは、最終的にのび太を結こん相手に選んでいる。だれものび太の事をきらったり、見はなしたりはしていないのだ。そんなのび太のみりょくは、一体何なのだろう。
 
 のび太のいい所は、人の悪口を言わず、だれにでもやさしく、何に対してもへん見がない。あれこれ考えずにそく行動し、心配な事は考えない。そして、どんなことがあってもめげず、失敗しても立ち直る強さを持っている、と書かれている。
このように、人として大切なものを持っているのび太なのに、マイナスのイメージが強いのはなぜだろう。それは、自然体でかっこつけないのび太だからこそ、ダメな自分もさらけ出し、無理せず、自分らしく生きているからなのかもしれない。
もし、出来杉君のように勉強も運動も完ぺきで、その上性格までもが完ぺきだったら、雲の上のそん在のようで、現実味がない気がする。でも、ふだんは失敗ばかりで、ダメな所が目立つのび太が、あらゆる困難にぶち当たった時、くじけてもくじけてもまた立ち上がり、それでいて決して無理はしすぎないで自分のペースで物事に取り組み、そして、困難を乗りこえ、真のやさしさや思いやりを身につけていく。そこが、のび太のみりょくなのではないだろうか。
 
 そんなのび太の人生最大の目標は、しずちゃんと結こんすることだとちょ者は考えている。だから、小言を言われても、いじめられても、「しずちゃんと結こんする」と信じているから、のび太は人生を投げ出したりしない。
ドラえもんの道具の「タイムマシン」や「タイムテレビ」で、しずちゃんとの幸せな結こん生活をイメージ出来るようになったから、のび太は辛い毎日にも関わらず、くじける事なく、日々を送る事が出来るのだ。
私達には、「タイムマシン」も「タイムテレビ」もないが、幸せな未来を夢見る事くらいなら出来るはずだ、とちょ者は言っている。それが、人を成長にみちびいてくれるのだ、と。
 
 ぼくには、しょう来魚博士になるという夢がある。そのためには、今は学校の勉強や目の前の事をがんばる必要がある。それが大切だとわかっていても、やっぱりいやだなとかめんどくさいなと思うこともしょっ中だ。そんな時は、成功した自分を想像してみようと思う。今自分が何をやるべきかがわかるし、やる気もわいてくる気がする。それでも、辛い時や苦しい時は、何度もおとずれるだろう。そのたび、それを乗りこえて幸せになった自分を想像する。そのくり返しでいいのだ、とのび太が思わせてくれた。
 
 最後に、とても印象に残ったのび太の言葉がある。それは、「きみはこれから何度もつまずく。でもそのたびに立ち直る強さももっているんだよ。」である。これから辛い事があるたびに、ぼくはこの言葉を思い出すことだろう。

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